墓じまいの基本と注意点

こんにちは。

内山公認会計士事務所の内山でございます。

今月も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。

早いもので2024年もあと一か月となりました。今年は元旦早々能登半島で大きな地震が発生し、改めて日本は災害大国であると思い知らされました。また、地方での災害ということもあり、地域復興の力になる若者不足についても大きな問題となりました。

地方に若者が少ないという問題は今に始まったことではありませんが、相続で言うと「実家どうする?」「畑どうする?」「田んぼどうする?」といった話はよく登場します。

しかし、「お墓どうする?」という話は登場頻度が少ないように感じます。

いわゆる“墓じまい”と呼ばれるものですが、皆さんは実家のお墓をどうしていくか考えたことはあるでしょうか? そこで今年最後のコラムはこの墓じまいについて基本と注意点を解説していきたいと思います。 実家を遠く離れて暮らす方であれば知っておいて損のない知識ですので、ぜひ最後までお付き合いください。

目次

墓じまいとは?

墓じまいとは、現在所有しているお墓を撤去しその後の管理責任を終える手続きを指します。お墓を管理する人がいなくなったり、遠方でお墓参りが難しくなったりすることが理由として挙げられます。また、子ども世代に負担をかけたくないという思いから墓じまいを選ぶ方もいます。

墓じまいをする際は、単にお墓を撤去するだけでなく遺骨の移転や手続きが伴います。そのため、手続きに時間がかかることや費用がかかる点にも注意が必要です。では、具体的な注意点や流れについて詳しく見ていきましょう。

墓じまいの注意点

墓じまいを進めるうえで、まず大切なのは親族間での話し合いです。

お墓は家族や親族にとって大切な存在であり、墓じまいの決断は親族間の対立に繋がるケースもあります。

そのため、墓じまいを必要だと思った際も「お墓って今後どうしていこうか?」という軽い投げかけから開始するとよいでしょう。間違ってもいきなり「墓じまいしようと思うけど」と切り出すことは避けましょう。軽い話からスタートし、墓じまいという選択をする背景や理由を丁寧に説明し、家族全員が納得したうえで進めることが重要です。

特に、遠方に住んでいる親族や普段お墓の管理に関与していない方にも状況を共有し、意見を聞くよう心がけましょう。親族間の対立を避けるためにも、専門家や第三者の意見を参考にするのも一つの方法です。

次に、墓じまいを進める際の法的手続きについて理解しておく必要があります。

例えば、現在のお墓から遺骨を別の場所に移す際には「改葬許可証」の取得が必要です。この許可証を申請するためには、埋葬許可証と新しい納骨先の受入許可証がそれぞれ必要となります。

また、お寺のお墓を墓じまいする場合これまでの管理費やお世話になった感謝の気持ちとして、離檀料を支払うケースもあります。この金額はお寺ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。 離檀料がかからなかった場合でも墓石の撤去費用は必要ですので注意しましょう。一般的には10~15万円ほどとそこまで高額ではありませんが、新しい供養先の契約費用なども加味すると、数十万円~は最低必要となってきます。そのため、複数の業者や施設から見積もりを取り全体の予算を把握することが大切です。また、遺骨を供養する新たな方法として、永代供養墓や樹木葬、納骨堂などさまざまな選択肢がありますので家族全員で慎重に選びましょう。

墓じまいの流れ

墓じまいを進めるために最初に行うことは既述の通り親族との話し合いです。ここがまとまらないままだといつまで経っても墓じまいは進みません。感情的にならずなぜ墓じまいをするのか、その理由を明確に伝え現状の課題を共有しましょう。

親族で課題・問題の共有が出来たら次のステップに移ります。

現在のお寺や霊園に連絡・新しい供養先の選定

現在お世話になっているお寺や霊園に墓じまいする意向を伝え、具体的な手続きについて相談します。先述の通りお寺の場合は、離檀料が発生する可能性があるため、その金額や支払い方法も確認しましょう。

続いて新しい供養先を決めます。供養先の選択肢はさまざまですが、それぞれの費用や管理体制を確認したうえで、家族の希望に合った供養方法を選びます。供養先が決まったら、その施設から「受入証明書」を発行してもらい、改葬許可証の取得準備を進めます。

改装許可証の取得と新しい供養先への移行

改葬許可証を申請する際には、現在のお墓の管理者が発行する埋葬証明書も必要です。これらの書類を自治体に提出し、改葬許可証を取得したら、墓石の撤去を業者に依頼します。撤去作業の前には、お坊さんによる閉眼法要を行いお墓に感謝の気持ちを伝えます。撤去後は土地を原状回復するのが一般的で、その費用も事前に確認しておくとよいでしょう。

最後に、遺骨を新しい供養先に移し納骨や供養を行います。新しい場所での法要や供養の形式についても事前に確認しておくことで、スムーズに進めることができます。

今回のまとめ

使わなくなった実家や田畑については固定資産税のこともあり気にする方も多いですが、お墓について日ごろ考える機会というのは余り多いとは言えません。しかし、墓じまいは故人への感謝の気持ちを形にする大切な機会でもあります。慎重に計画を立てながら、新しい供養の形を見つけていきましょう。

本年も当コラムをお読みいただきありがとうございました。 よいお年をお迎えください。

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