賃貸不動産の相続対策はどうなる?

こんにちは。

内山公認会計士事務所の内山でございます。

今月も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。

2026年に入り新聞やニュースで

「相続対策としての不動産に国がメスを入れる」

といった内容を目にされた方も多いのではないでしょうか。

実際に、

・アパートやマンションを買うと相続税が安くなる

・現金より不動産で持っていた方が有利

といった話は、これまで相続対策の“常識”として広く知られてきました。

ところが今回、その前提が大きく見直されようとしています。

ただ、

「もう不動産はダメなのか」

「今までの対策は無駄だったのか」

と不安に思われる必要はありません。

大切なのは何が問題視され、どこを考え直せばよいのかを正しく理解することです。

そこで今回は上記をかみ砕き、分かりやすく順を追ってお話ししていきます。

目次

なぜ不動産は相続税対策に使われてきたのか

まず、基本から整理しましょう。

相続税は、亡くなった方の財産を「時価」で評価するわけではありません。
法律で決められた評価方法に基づいて計算されます。

たとえば、

・現金や預金 → そのままの金額

・不動産 → 国が定めた基準(路線価や固定資産税評価額)

で評価されます。

この不動産の評価額は、実際に売ったときの価格より
低くなることが多いという特徴があります。

さらに、不動産を「人に貸している」場合、
自由に使えないという理由から、評価はもう一段下がります。

そのため、

「現金で持っているより不動産(特に賃貸用)で持っていた方が相続税が安くなる」

という仕組みが成り立っていました。

国が問題にしたのは「不動産」そのものではありません

ここで、ぜひ押さえておいていただきたい点があります。

今回の見直しは、
不動産そのものを否定しているわけではありません。

問題視されているのは、次のようなケースです。

・相続が近いと分かってから

・多額の現金で

・短期間のうちに賃貸不動産を購入する

こうした場合、実際にはほとんど使っていない不動産なのに評価だけが大きく下がり、相続税が極端に少なくなる。 この点について、
「同じ財産を持っているのに、税負担が大きく違うのは公平なのか」
という議論が強まってきました。

2026年の見直しで何が変わるのか

報道や税制改正の内容を分かりやすく言うと、今回の方向性はとてもシンプルです。

「相続の直前に買った賃貸不動産については、これまでほど大きく評価を下げないようにする」

という考え方です。

つまり、

・長年持ってきた不動産

・事業としてきちんと運用してきた不動産

まで、一律に不利になるわけではありません。 短期間で取得したものに限って、見直しが入るという点が重要です。

評価額のイメージ

ここでは、あくまで考え方を理解するための例を挙げます。

たとえば、

・8,500万円ほどで賃貸用の建物を購入

・従来の評価方法では、相続税評価額が約5,000万円前後になるケース

があったとします。

この場合、実際に支払った金額と、相続税の計算に使われる金額に3,000万円以上の差が生じます。

税率にもよりますが、相続税額では数百万円〜1,000万円近い差になることもあります。 今回の見直しは、この「差が大きくなりすぎる部分」を抑えようというものです。

「不動産節税が使えなくなる」という話ではありません

ここで、誤解しやすい点を整理しておきます。

今回の見直しは、

・不動産を持つと損をする

・不動産による相続対策は無意味

という話ではありません。

不動産には今でも、

・相続人の住まいや収入を支える

・分割方法を工夫できる

・現金とは違う役割を持つ

といった価値があります。

ただし、

「評価が下がるから買う」
「税金が安くなるから買う」 という税金だけを目的にした考え方は、通用しにくくなってきたということです。

これからの相続対策で大切になる視点

2026年以降の相続対策で、私が特に大切だと感じているポイントを3つお伝えします。

① 時間の流れを意識すること

不動産は「いつ買ったか」「どれくらい持つか」で意味が変わります。
短期の節税ではなく、相続までの時間軸で考えることが大切です。

② 不動産だけに頼らないこと

生前贈与、遺言書、財産の整理など、複数の方法を組み合わせることで相続は安定します。

③ 相続人の立場で考えること

税金が下がっても、

・管理が大変

・売れない

・揉めやすい

財産であれば結果としてご家族が困ってしまいます。

今回のまとめ

今回の不動産評価の見直しは、「節税をするな」というメッセージではありません。

「税金だけを見て判断する時代は終わりつつある」
というサインだと、私は考えています。

相続は、税金・財産・家族関係が重なり合う、とても繊細なテーマです。
だからこそ、制度が変わるこのタイミングで、一度立ち止まり、全体を見直してみる価値があります。

この記事が、
「うちはどう考えればいいのだろう」
と考えるきっかけになれば幸いです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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