こんにちは。
内山公認会計士事務所の内山でございます。
今月も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。
地元を離れて暮らす方であれば、「実家どうしよう…」と思ったことがあるのではないでしょうか? 2024年4月からは相続登記の義務化もスタートしましたので、余計に頭を悩ませてしまうかもしれません。
そんな時に選択肢の一つとして登場するのが「実家じまい」というものです。「初めて聞いた」という方もいらっしゃるかもしれませんが、近年増加傾向にはあるようです。
今回のコラムでは「実家じまい」について基本的な意味から注意点、具体的な流れまでを分かりやすくご紹介します。
特に地方に実家があるという方であればぜひ知っておいていただきたい知識となりますので、最後までお付き合いください。
実家じまいとは?

実家じまいとは、親が高齢になり家を維持することが難しくなった場合や、親が亡くなった後に実家を整理することを指します。親が住んでいた家を売却したり、賃貸に出したり、空き家にしないよう管理を行ったりすることが含まれます。
田舎の土地や農地をどうにかする。というものにも似ていますが「実家」ですので、家財道具の整理や庭木の処分など、心身ともに負担のかかることが多く発生します。
既述の通り相続登記の義務化もスタートしていますので、親が亡くなった後に実家を放置してしまうとペナルティが課せられる場合もございます。 さらに、空き家問題や固定資産税の負担が増えることにもつながるため早めの対策が大切です。
実家じまいの注意点

実家じまいを行う際には、いくつか注意するポイントがあります。詳しく見ていきましょう。
親族間での話し合い
実家じまいは、親族間で意見が分かれることも少なくありません。「実家を売りたくない」「思い出があるから残したい」という意見が出ることもあります。そのため、まずは家族全員で話し合いを行い方向性の共有をすることが重要です。
思い出というものはお金に変えられませんが、実際に誰がコストを負担するのか? ということをきちんと決めないまま実家を残すことはのちのトラブルに繋がりかねませんのでご注意ください。
財産の整理
実家には多くの思い出の品や家財道具が残されていることが多いです。すべてを処分するのは難しいため、「残したいもの」「譲渡したいもの」「処分するもの」に分けて整理を進めるとスムーズです。
その際には片づけを手伝ってくれる業者の選定も併せて行うと良いでしょう。ただし、片付け業者も玉石混交ですので、複数社から見積もりを取り安心して任せられるかを慎重に判断しましょう。
相続手続きの確認
実家じまいには、相続手続きが関わる場合があります。不動産の名義変更や相続税申告などの手続きが必要になることもあるため、専門家の助けを借りることをおすすめします。
特に相続登記は義務化されていますので、相続税が発生しなかったとしても名義変更は必須事項となります。
実家が売れないし、借り手もいない

日本は人口減少期に突入していますが、都心を中心にマンション価格は高止まりをしています。他方、地方に関しては中古の戸建ての場合、値段が付かないということも少なくありません。
そこで、売れないし借り手もいない、さらには建物の維持管理も難しいとなれば実家の解体と解体後の土地活用方法も考えなくてはなりません。
解体に関してはある程度の費用負担を掛ければ可能ですが、その後の空き地をどのように活用していくか? に関しては長年コストも発生することになりますので注意する必要があると言えるでしょう。
ということは、遺産分割協議の場においていわゆる「負動産」を引き継ぐことになりそうな場合、他の相続人に対して管理にかかるコストも考慮してもらうべきと言えます。引き継いだ人だけが大きな負担を負うということの無いよう慎重な話し合いが求められます。 空き地にしたとしても活用方法が見つからない場合は、相続土地国家帰属制度というものの活用も考えられます。以前コラムでも解説したことがございますので、詳しく知りたい方はコチラよりご覧ください。
今回のまとめ

実家じまいは、家族にとって大きなイベントであり、心の整理が必要な場面でもあります。早めに準備を始め、親族間でしっかり話し合いながら進めることが成功の鍵です。
また、義務化となった相続登記に関しては「うっかり忘れていた…」ということの無いようご注意ください。
実家じまいを含む相続対策のご相談は早ければ早いほど手段も多く存在しますので、お悩みの場合はお気軽にお問い合わせください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。