預貯金口座付番制度と相続

こんにちは。

内山公認会計士事務所の内山でございます。

今月も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。

皆さんはマイナンバーカードを活用されていらっしゃるでしょうか?

諸外国ではIDカードの普及に関して日本より先を進んでいる印象がありますが、最近ではようやくわが国でも「マイナンバー」の活用が見受けられるようになりました。

運転免許証との一本化がニュースでは話題ですが、2025年4月1日より預貯金口座付番制度という仕組みが始まることはあまり知られていないかもしれません。

これは相続にも大変便利に活用できる制度ですので、今回のコラムで取り上げ解説させていただきます。特にネット銀行など紙の通帳が無く、故人の遺産がどこにあるのか分からない…… という問題を解決できる手段となりますので、ぜひ最後までお付き合いください。

目次

預貯金口座へのマイナンバー付番とは?

「預貯金口座へのマイナンバー付番」とは、銀行や信用金庫などの金融機関に自分のマイナンバーを登録し、口座とひも付けることを指します。この制度の目的は、主に以下の2点です。

・相続手続きの簡略化:亡くなった方の預貯金口座をスムーズに特定できるようにする。

・災害時の迅速な支援:被災者の口座を特定し、公的支援を迅速に行えるようにする。

既述の通り、ネット銀行などでは遺族が探しても取引履歴等が見つからなければ、金融機関ごとに問い合わせを行い照会しなければならず、膨大な労力を要することとなっていました。 しかし、本制度へ登録をしておけば、相続時は一つの金融機関で手続きすると他の金融機関の口座情報もまとめて確認できるようになるため、遺族の負担は大幅に減ることが予想されます。

登録方法と必要なもの

預貯金口座へのマイナンバー付番を行うには、以下の書類が必要です。

・本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)

・マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカード、通知カードなど) また、2025年4月からは、マイナポータルを利用して、スマートフォンなどからオンラインで登録できるようになります。登録に関しては1つの金融機関を通じて、複数の金融機関に一括で届け出ることも可能です。

公金受取口座との違いは?

マイナポイントがスタートした際に登録した方も多いと思いますが、「公金受取口座」とは、給付金や年金などを受け取るために、国に登録する口座のことです。

一方、「預貯金口座へのマイナンバー付番」は、金融機関に登録するものであり、これらは別の制度になります。

そのため、公金受取口座を登録していても、本人の同意なしに預貯金口座へマイナンバーが付番されることはありません。

国に口座の情報は知られる?

マイナンバーを登録しても、それだけで国が預金額や取引内容を把握することはありません。金融機関が国に情報を提供するのは、税務調査や社会保障の調査など、法律で定められた場合に限られます。

さらに、預貯金口座へのマイナンバー付番は義務ではありません。金融機関から登録を求められることはありますが、本人が同意しなければ付番されることはありません。また、金融機関からの案内を無視しても、自動的に付番されることはありません。

今回のまとめ

個人的には相続財産が埋もれてしまうことを防ぎつつ、遺族の労力を大幅に軽減できる本制度には賛成です。もちろん義務ではなく本人の同意が必要なので「やりたくない」と感じる方は無理に登録する必要はないでしょう。

今後、国としては相続分野でもマイナポータルの活用は様々なケースが考えられると思いますので、新しい情報が発信された際は当ブログでもお伝えしてまいります。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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