こんにちは。
内山公認会計士事務所の内山でございます。
本年も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。
今回のコラムは新春ということで、相続知識を2026年ヴァージョンへアップデートしていただこうという趣旨になっております。
相続法の改正以来、“今っぽい”制度が続々と登場していますが、よく読者の方やお客様から、次のようなお声をいただくことが増えています。
- 数年前にブログを読んで相続対策を考えたが、そのままになっている
- 制度が変わったと聞いたが、何を見直せばよいのか分からない
- 昔の知識が、今も通用するのか不安
相続対策は「一度やれば終わり」ではありません。
制度改正があれば、これまでの対策を“やり直す”のではなく、“読み替える”ことが必要になります。
そこで今回は、
過去に当ブログでお伝えしてきた内容を、2026年現在の制度に照らして整理し直す
「相続制度の読み替えガイド」としてお話ししていきたいと思います。
生前贈与の記事は、2026年ではこう読み替えてください

当ブログではこれまで、
「毎年110万円までの贈与は贈与税がかからない」
という生前贈与の基本について、繰り返し解説してきました。
この説明自体は、2026年現在も間違いではありません。
贈与税の基礎控除110万円という仕組みは、今も変わっていないからです。 しかし、ここ数年で大きく変わったのが、相続税との関係です。
相続開始前「7年以内」の贈与に注意
税制改正により、相続開始前に行った生前贈与について、
- 従来:相続開始前3年以内の贈与が相続税に加算
- 現在:最大7年以内の贈与が相続税の計算対象
となりました。
具体的には、
相続開始前4年~7年以内の贈与については、
合計100万円までは加算されず、超えた部分が相続税の課税対象となります。
つまり、
- 毎年110万円の贈与をしていたとしても
- 相続直前の数年分は、相続税計算上「なかったこと」にはならない
という点を理解しておく必要があります。
2026年時点での生前贈与の考え方
ここで重要なのは、
「生前贈与は意味がない」という話ではないということです。
- 相続財産を早めに減らす
- 将来値上がりが見込まれる財産を移転する
- 相続人間のバランスを整える
といった目的が明確であれば、生前贈与は今も有効な対策です。
ただし、 「とりあえず毎年110万円」
という考え方だけで続けてしまうと、思わぬ誤算につながる可能性があります。
相続時精算課税は「使いやすくなった」が慎重さは必要です

ここ数年、相続対策の相談で必ず話題に上るのが
相続時精算課税制度です。
制度改正により、
- 相続時精算課税を選択した場合でも
- 年間110万円までは贈与税がかからない基礎控除が新設されました
この点だけを見ると、
「暦年贈与よりも有利になった」と感じる方も多いかもしれません。
しかし、実務の立場から申し上げると、
安易な選択はおすすめできません。
相続時精算課税の本質は変わっていません
相続時精算課税を選択すると、
- 贈与時には税金がかからない場合が多い
- その代わり、将来の相続時にすべて精算される
という仕組みは、今も同じです。
また、
- 一度選択すると暦年贈与には戻れない
- 相続税が発生するかどうかを含めた長期的な見通しが必要
という点も変わっていません。
「制度が使いやすくなった=誰にでも向いている」
というわけではない、という点は、2026年でも強調しておきたいところです。
配偶者居住権は「万能な制度」ではありません

配偶者居住権については、
当ブログでも制度創設当初から解説してきました。
配偶者の住まいを守るという点で、
非常に意義のある制度であることは、今も変わりません。
ただし、実務が積み重なったことで、見えてきた注意点もあります。
実際に多いご相談
- 相続税評価が思ったより複雑
- 不動産を売却したくても制限がある
- 他の相続人との調整が難航する
配偶者居住権は、
「設定すれば安心」という制度ではなく、状況に応じて選択すべき制度です。
配偶者の年齢、資産状況、相続人の関係性によっては、
従来通り「配偶者が不動産を相続する」方がシンプルなケースも少なくありません。
遺言書があっても、安心とは限らない時代です

これまでの記事でも、
「遺言書の重要性」は繰り返しお伝えしてきました。
その考え方自体は、2026年でも全く変わりません。
ただし、近年の相続実務では、
- 遺留分侵害額請求は「金銭請求」が原則
- 不動産の共有を避ける方向へ制度が動いている
といった変化があります。
結果として、
- 遺言書はあるが、相続人同士で金銭トラブルになる
- 不動産は残るが、現金が足りず揉める
といったケースも増えています。
遺言書は、
「書いた内容」だけでなく、「実際に分けられるか」まで考える時代に入っています。
最近特に増えているご相談内容
ここ数年で特に増えているのは、次のようなご相談です。
- 昔ブログを読んで対策したが、今の制度に合っているか不安
- 贈与はしているが、贈与契約書を作っていない
- 相続登記が義務化されたが、手を付けていない
- 家族に内容を説明しておらず、理解されていない
制度の知識そのものよりも、
「情報が更新されていない」「準備が止まっている」ことが問題になるケースが目立ちます。
今回のまとめ

相続対策は「定期的な見直し」が必要です。これまで当ブログでお伝えしてきた相続の考え方は、2026年現在も大きくは変わっていません。
ただし、
- 税制
- 実務
- 制度の使われ方
は、少しずつ確実に変化しています。
相続対策は、
一度考えたら終わりではなく、数年ごとに「読み替える」ものです。
もし、
「昔考えた内容のままで大丈夫だろうか」
と感じられた方は、
年明けのこのタイミングで、一度立ち止まって整理してみてください。
当ブログが、そのきっかけとなれば幸いです。
もちろん相続に関するご相談もお受けしておりますので、「自分の場合はどうなんだろう?」と思われた方はお気軽にご相談ください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

